パソコンの空冷式CPUクーラー交換。ソケットAM4の場合

CPUクーラーの寿命をネットで調べたところ(独自調査)、およそ3年といわれているようです。

ファンの故障ならばファンを交換すれば(特殊な形状のものを除けば)CPUクーラー本体はそのまま使えますが、この寿命というのは”ヒートパイプ”の寿命のことを意味します。

その3年からすでに2年経過しているためCPUクーラーを交換することにしました。

CPUクーラーの交換や、CPUやマザーボードの交換にともなうCPUクーラーの付け替えなどは今まで何度となく経験しましたが、最近はCPUの裏面にランドと呼ばれる接点があるLGA(Land Grid Array)パッケージのCPU(Core i7-7700など)を使っていたため、CPUクーラーをCPUから外す際CPUがクーラーについたまま抜けるという、いわゆる”スッポン”にはなりませんでしたが、今回はCPUの裏面にピンが並んでいるPGA(Pin Grid Array)パッケージのCPU(Ryzen 5 5600X)のため慎重に行う必要がありそうです。

LGAパッケージの場合下の写真の様にCPUソケットのカバーがCPUを押さえていますが、PGAパッケージの場合これがありません。

LGAパッケージのCPUをソケットに取り付けた状態
LGAパッケージの場合
PGAパッケージのCPUをソケットに取り付けた状態
PGAパッケージの場合

そのためCPUクーラーと同時にCPUが抜けることがあります。このときCPU裏のピンが曲がってしまうと使えなくなってしまいます。悲しいですね。

このようなことにならないためにいろいろと考えていましたが、結果から言うとあっけなくCPUクーラーが外れました。

CPUクーラーを外す際、問題になるのがサーマルグリス(以下グリス)の状態であり、グリスが乾燥し硬くなってしまうとCPUとCPUクーラーが固着し、なかなか外せなくなってしまいます。

これを避けるには一般的に次の点を注意するといいと思います。

  1. 低粘度のグリスを選ぶ
  2. 経年劣化(乾燥)しにくいグリスを選ぶ
  3. グリスが冷えた状態で外さない

ただし、使ってみないとわからないこともあるので、好みのグリスを見つけるのも難しいかも知れません。

今回の取り外しの対象は以下の様な組み合わせになります。

  • CPU:AMD Ryzen 5 5600X
  • CPUクーラー:Scytheサイズ 虎徹 MarkⅡ
  • サーマルグリス:Scythe Thermal Elixer2
Scythe Thermal Elixer2 外観
Scythe Thermal Elixer2

この組み合わせを例にCPUクーラーを取り外していきます。

CPUクーラー取り外し

ここからはCPUクーラーの取り外し作業になります。

1.グリスを温める。

なるべくグリスが柔らかい状態の方が外れやすいと思われるので、PCの電源を入れしばらくの間待ちます。

ベンチマークソフトなどでCPUに負荷をかけたほうがCPU温度が上がりグリスが柔らかくなると思いますが、自分の場合30分程度PCゲームをして待ちました。

2.PCに接続されているケーブル類をすべて外し、サイドカバーを外し、PCケースを横向きにします。

3.CPUファンを外さないとマウンティングバーの片側のねじがゆるめられないため、先にファンを外します。

ファンクリップの中央部から外そうにも作業スペースが狭くやりにくいので、少し強引ですがファンに引っ掛けてある部分から外しました。

*静電気による電子部品の破壊を避けるため、作業する前に何か金属のものに触れ、静電気を放電しておきます(特に空気が乾燥している冬場は要注意)。

4.CPUクーラーを固定しているねじを左右交互に少しずつゆるめ、最終的に完全にゆるめます。

CPUクーラーのねじを外している様子

5.CPUクーラーを持ち上げて取り外す。

CPUクーラーを外した後のCPUの状態

グリスが柔らかくなっていたので、軽く持ち上げただけで外れました(室温は25℃)。

6.グリスを拭き取る。

古いグリスをきれいにしたCPU

以上でCPUクーラー取り外し完了です。

CPUクーラー取り付け

ここからはCPUクーラー取り付けになります。

CPUはそのままですが、CPUクーラーと使用するグリスは以下のものになります。

  • CPUクーラー:クーラーマスター HYPER 212 SPECTRUM V3
  • サーマルグリス:ARCTIC MX-6(4グラム)
ARCTIC MX-6 外観
ARCTIC MX-6

1.虎徹 MarkⅡで使用していたAMD マウンティングプレートを外します。

虎徹MarkⅡで使用していたAMDマウンティングプレート

2.グリスをCPUの真ん中に適量のせる(この量が適正かどうかはわかりません)。

CPUの真ん中にグリスをのせた状態

このままCPUクーラーをのせてもいいのですが、自分の場合次の写真ように塗っています。

3.グリスを均一に薄く塗る。

CPUにグリスを均一に塗った状態

グリスを塗るのに懐かしのテレフォンカードを使用しています。

テレドンカードの写真

4.ベースプレートに貼られているラベルやフィルムを剥がし、CPUクーラーをCPUにのせる。

CPUクーラーのベースプ貼られているラベルを剥がしている様子
ラベルを剥がす
CPUくーらーをCPUにのせた状態
CPUクーラーをのせる

5.固定用のねじをマザーボード裏のバックプレートに少しずつ均等に締めていき(対角に締める)、最終的にねじが回らなくなるまで締める(締め切る)。

どこまで締めていいのか悩むところかもしれませんが、取り付けマニュアルに”締め切る”とかいてある製品もあれば単に締めるとしか書いてない場合があったり、イラストのみだったり様々ですが、中途半端に締めると圧力が均一にならないため締め切るのが正解だと自分自身は思っています(マニュアルに書いてない場合は自己判断でお願いします)。

6.ファンをCPUクーラーに取り付け、ファンケーブルのコネクターをマザーボードに接続する。

CPUファンを取り付けた状態

以上でCPUクーラーの取付完了です。

おわりに

前回CPUクーラーを外したときは、グリスが冷えた状態(常温)で行ったため若干外れにくかったのですが、今回はPCを稼働させて温めた後行ったため簡単に外すことが出来ました。

グリスの種類にもよると思いますが、冷えた状態と温めた状態では外しやすさがかなり違うように感じました。

自作PC初心者の頃はグリスではなく熱伝導シートを使っていましたが、CPUクーラー交換のときなかなか外れず、経験も浅かったため困惑した覚えがあります。それ以来はグリスを使うようにしています。

今回、ARCTICの”MX-6”というグリスを使いましたが、伸びがよく薄く均一に塗ることができ、個人的には塗りやすいと感じました。

次回のCPU交換(必然的にマザーボート、メモリーも同時交換)はIntelかAMDか未定ですが、最新(2023年6月時点)のCPUはどちらもLGAパッケージ(Intel:LGA1700、AMD:Socket AM5)なので、CPUクーラー交換時にCPUのピンが曲がる心配は避けられそうです。

この記事を書いている人
ひとっさん

日々の暮らしや趣味を楽しむ中で行ったことで、役立ちそうなことやヒントになりそうなことを記事にしています。
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