以前から気になっていたロードバイクのヘッドセットの分解、清掃をやってみました。
13年ほど(2011年~2024年時点)同じロードバイクに乗っていますが、ヘッドセットの分解、清掃をしたのは1回だけです。特にガタなどはありませんが汚れが気になることと点検のため実施しました。
ロードバイクによってはヘッドセットの部品や構造が違うと思いますが、一般的な分解、組み立ての手順などを記載していますので参考になれば幸いです。
必要な工具などは、六角レンチ、グリス、トルクレンチです。
注)この記事に記載の締め付けトルクはこのロードバイクの場合であり、他のロードバイクの場合異なる場合もあると思いますので確認の上行ってください。
分解手順
*自分のロードバイクの場合、分解に当たりブレーキキャリパーは外さなくてもそのままでOKでしたが、外したほうがやりやすいかも知れません。
①トップキャップ(ステムキャップ)を外す
このロードバイクの場合フォークがカーボンのためプレッシャーアンカーボルトが入っています。
フォークがカーボンでない場合はスターファングルナットが圧入されていると思います。
②ステム上側のコラムスペーサーを取り出す
プレッシャーアンカーボルトは、浮いているといった異常がないため今回は外していません。
③ステムをハンドルごと抜く
④ステム下側のコラムスペーサー、トップカバーを取り出す
⑤フォークを抜く
ここからは作業の都合上、ロードバイク本体を床に寝かせて行っています。
フォークコラムの下にパーツ(クラウンレース)が嵌っていますが、圧入されているようなので外していません。
⑥上側のベアリングを取り出す(このロードバイクの場合シールドベアリングが入っています)
上のベアリングの上に割りが入ったリング(コンプレッションリング)とワッシャーが乗っています。
⑦下側のベアリングを取り出す
ベアリングの汚れ具合は下の写真の通りです。結構な汚れです。
2つのベアリングとも外輪に若干の錆が発生していましたが、内輪の回転に問題はありませんでした。次回はベアリングの交換を検討したいと思います。
以上で分解完了です。
組立手順
*組み立ての前に汚れたグリスなどをきれいに拭きとっておきます(シールドベアリング内に洗浄液が入らないよう注意)。
①上下のベアリングの受け部分にグリスを塗る
グリスはお好みのものを使用してください。自分自身は流れにくい高粘度のもの(手持ちのフィニッシュライン テフロングリス)を使用しています。
②下側のベアリングにグリスを塗り(受け部に接触する部分)、フォークに入れる
べリングには上下の向きがあります、上側のベアリングも同様です。
③フォークをヘッドチューブに入れ、上側のベアリング、コンプレッションリング、ワッシャーにグリスを塗り、順にフォークに入れる
④トップカバーにグリスを塗り、フォークに入れる
⑤下側コラムスペーサー、ステム、上側コラムスペーサーを順に入れる(この後ロードバイクを立てています)
余談ですが、トップキャップのボルトが錆びていたため交換しようと思い、下の写真の物を事前に購入していましたが、キャップの下部がプレッシャーアンカーボルトに当たりキャップが浮いていしまうため使用することが出来ませんでした。
スペーサーを足せば使えそうですが今回は見送りです。とりあえずボルトのみの交換です。
⑥トップキャップを取り付ける
六角レンチである程度締めます(この後前輪を取り付けています)。
このときの締め付けの感触がヌルーっとした感じでどこまで締めていいのかわかりにくく、もしかしてプレッシャーアンカーボルトが一緒に回っているんじゃないかと思い、一度トップキャップを外して確認しましたがプレッシャーアンカーボルトは浮いていませんでした。
シールドベアリングのため剥き出しのベアリングのような微妙な玉当たり調整は不要で、ステムの取説に記載のトルク(2.5N・m)で締めます。
なお、プレセット型(トルクを設定して使うタイプ)のトルクレンチを所有していますが、設定範囲が3~15N・mのため使用できず、上の写真のようなメモリを読むタイプのトルクレンチ(測定範囲0~14N・m)を使用しています。
規定トルクで締めれば締め過ぎということは無いと思いますが、ハンドルがスムーズに左右に切れるか確認します。
⑦ヘッドにガタがないか確認する
やり方はいろいろあるようですが、今回は以下の方法で確認しています。
ハンドルを90度切り、トップカバーのとヘッドチューブの境目に指を当て、フロントブレーキを握った状態で車体を前後にゆする。このときトップカバーが前後に動くか動かないかでガタが有るか無いかを判断する。
また、前輪を少し持ち上げ床に落とす動作を繰り返し、ガタが有るか無いかを音で判断する。
⑧ハンドルと前輪が直角になるよう角度を調整し、ステムのクランプボルト2本を交互に均等に締める(最後の締め付けはトルクレンチで行います)
ステムの取説によるとクランプボルト(M6)の締め付けトルクは 6~8N・m となっていました。
以上でヘッドセットの分解、清掃完了です。
おわりに
ベアリングを取り出してきれいにすること自体は難しくありませんが、ブレーキワイヤー、シフトワイヤーがハンドルについたまたまだとやりにくく、気をつけないとフレームを傷つけることがあるかも知れません。
また、フォークをヘッドチューブに入れる際、写真だと何事もないように見えますが何度もフォークが下がりやりにくかったです。
ヘッド玉当たり調整(シールドベアリングにかかる圧の調整)は 2.5N・m のトルクで締められるトルクレンチが必要でした。
たまたまペダル軸のグリスアップをした際に購入していたので(手持ちのプレセット型トルクレンチが逆ねじに対応していないため)どうにかなりましたが、本来なら事前に確認しておく必要がありました。
ステムの取説も保管しておいて助かりました、もし無ければ締め付けトルクがわからず正解を見つけるのに時間を要するところでした。