自転車のチェーンは摩耗により伸びていきます。伸びた状態で使い続けるとチェーンリングやスプロケットなどのパーツを傷めたり変速性能が悪くなったりします。
ときどきチェックして伸びを確認しなければなりません。
チェーンを交換するだけなら外したチェーンと同じ長さ(同じリンク数)にすればいいのですが、チェーンリングやスプロケットを交換してそれらの歯数が変更された場合、それに応じたチェーンの長さに変更する必要があります。
今回チェーンを交換するにあたり、あらためてチェーンの長さの決め方を調べてみましたので参考にしていただけたら幸いです。
チェーンの伸びとは
チェーンは使用によりいろいろな部分が摩耗するわけですが、チェーンの伸びに影響しているのはどの部分の摩耗なのか、チェーンを分解して調べてみました。
ピンはアウターリンクに固定されているので、インナーリンクの穴とピンが擦れる事によりそれらが摩耗し、その摩耗した分がチェーンの伸びになると思われます。
下の図は片側のインナーリンクとアウターリンク及びローラーを取り除いた断面図です。
チェーンにテンションがかかっている状態では、ピンがインナーリンクの外側に接触していると思うので、図のようにピンをインナーリンクの外側に寄せています。
このピンとインナーリンクの穴が摩耗すると図の下側のチェーンのように隙間が大きくなり、その結果がチェーンの伸びになると思われます。
図ではわずかな量ですが、チェーンが長くなればそれに応じて伸びた量も増えます。
チェーンチェッカーとは
一般的にチェーンの伸びを確認するためには、チェーンチェッカー(別の呼び方もあり)というものを使用します。
簡易的なものから本格的なものまでいくつか種類はあるようですが、自分自身は簡易的な以下のようなものを使用しています。
上の写真の右側に0.5と0.75の刻印があります。これはチェーンの伸び率0.5%と0.75%を表しており、この伸び率を目安にチェーンを交換します。
下の写真は長さ116リンクのチェーンですが、このチェーンで伸び率0.5%は約7mm、0.75%は約11mmということなります(計算式:116リンク×ピッチ12.7mm×伸び率)。
チェーンチェッカーの使い方
チェーンチェッカーの使い方はとても簡単です。
以下の様にチェーンに差し込んで、刻印部分が入るか入らないかで判定します。
チェーンが伸びていない場合、下の写真の様にチェーンチェッカーの刻印部分(この場合0.5%)がチェーンに入りません
0.75%の刻印部分が入っています。明らかに交換時期を超えているようです。
チェーンチェッカーを差し込むときは、チェーン全体的に何カ所か差し込んでみたほうがいいと思います。
今回も何カ所か差し込んでみましたが、抵抗なくスッと入るところもあれば、ややきつい所もありました。
どちらにしても0.5%はどこに差し込んでもすぽすぽでしたので、交換が遅すぎたとしか言えません。
定期的にチェックしていれば良かったのですが、ある日の乗車中になんとなくチェーンの音が大きいような気がして後でチェックしたところこのような状態でした。
チェーンチェッカーがない場合のチェーンの伸びの確認方法
この記事を書くためにいろいろ調べている中で、チェーンチェッカーが無くてもチェーンの伸びを確認する方法を見つけましたので紹介します。
チェーンをフロントアウターにかけ、写真の様に指でつまんでチェーンを引っ張ります。
写真の様に刃が見える場合は伸びています。この写真のチェーンは先ほどのチェーンチェッカーを差し込んだ時、伸び率0.75%の刻印部分が入ったものです。
チェーン交換後同じ方法でチェックしてみたのが次の写真です。
この方法だと具体的な伸び率までは判りませんが、気軽にチェックが出来ます。
チェーンの取り外し
チェーンの取り外しにはチェーンカッターというものを使用します(チェーンを繋ぐ時にも使用します)。
この工具を使用してチェーンの連結部分を外します。
チェーンを外す前にシフトチェンジして、チェーンのテンションを緩めておきます。これは外した瞬間にチェーンが勢いよく離れるのを防ぐためです。
専用工具や針金などで広がらないようしてもいいでしょうが、このやり方で特に問題ありませんでした。
伸びたチェーンは再度使うこともないので、任意の場所で外します。
使い方は下の写真の様にチェーンをチェーンカッターに嵌め、ハンドル先端のピンをチェーンのピンの中心にしっかり当て、あとはハンドルを回せばチェーンのピンが押し込まれチェーンの連結が外れます(それなりの力が必要です)。
ハンドル先端のピンをチェーンのピンの中心からずらさないよう注意が必要です。
チェーンが外れるとこんな感じになりました。
あとはチェーンをゆっくりと引きながら取り出します。
チェーンの長さの決め方(シマノの場合)
チェーンの長さの決め方は、
①リアディレイラーが新型か従来型か
②フロントギアが”ダブル”か”トリプル”か
③最大スプロケットの歯数
これらの条件によって一般的に3通りの方法があるようですが、ここではリアディレイラーが新型(シャドー リアディレイラー)の場合を除く2通りの方法を見ていきます。
その2通りは一般的に以下の方法です。
①チェーンをアウター×トップにかけ、ガイドプーリーとテンションプーリーの中心を結ぶ線が地面と垂直(このときチェーンはリアディレイラーを通す)
②チェーンをアウター×ローにかけ、チェーンを繋ぐことが出来る最短リンク数+2リンク(このときチェーンはリアディレイラーを通さない)
注)一部のリアディレイラーで例外があるかも知れませんので、必ずご自身のバイクに取り付けられているリアディレイラーの取扱説明書等を確認してください。取扱説明書等はシマノの”マニュアル&技術資料”サイトで閲覧可能となっています。
①か②のどちらの方法になるかは最大スプロケットの歯数で決まり、フロントギアがダブルかトリプルでその歯数が異なります。
フロントダブル 最大スプロケット27T以下の場合
*バイクの右側からだと、ガイドプーリーとテンションプーリーの中心が見えないため左側からの図で示しています。
フロントダブル 最大スプロケット28T以上の場合
フロントトリプル 最大スプロケット30T以下の場合
フロントトリプル 最大スプロケット32T以上の場合
①の方法の場合必ずしもガイドプーリーとテンションプーリーの中心を結ぶ線が地面と垂直になるとは限りません。ディーラーマニュアルを見るとこの線と水平な地面との角度は90°以上となっています。
90°以上ということはガイドプーリーとテンションプーリーの中心を結ぶ線が、地面と垂直またはテンションプーリーがガイドプーリーより前側になるようにチェーンの長さを決めるということになります。
自分の場合もピッタリ垂直になりませんでした。実際の写真が以下です(バイクはほぼ水平にしてあります)。
より垂直に近いのは90°未満の場合ですが、マニュアルにしたがい90°以上になるようにチェーンの長さを設定しました。
試しに②の方法でチェーンの長さがどうなるか試してみましたが、①の場合と同じ結果になりました(あくまでも自分のバイクの場合です)。
②の方法の場合必ずしもピッタリチェーンが繋がるとは限りません。その場合の最短で繋げられる位置は以下の様に判断します。
(例1)チェーンの先端(アウターリンク)の穴が繋ぐ側のインナーリンクのチェーンピンに届く場合
(例2)チェーンの先端(アウターリンク)の穴が繋ぐ側のインナーリンクのチェーンピンに届かない場合
チェーンを繋ぐ位置は+2リンクの位置なのでチェーンが長くて切る場合、最短で繋げられる位置で切らないよう注意して下さい。
①②の方法以外に計算式によるチェーンの長さの求め方もあるようですので、興味のある方は🔎検索してみて下さい。
チェーンを繋ぐ
チェーンの長さが決まったらチェーンを繋ぎますが、チェーンの表裏および繋ぐ方向に注意して下さい。
シマノの場合、チェーンの刻印がある方が表、無い方が裏となっています。繋ぐ方向は、チェーンの進行方向の前側にアウターリンクの穴がくる向きで繋ぎます(逆方向より強度が増し切れにくいため)。
外したときと同じようにフロント最大チェーンリング、リア最小スプロケットにチェーンをかけながら、フロントディレイラー、リアディレイラーにチェーンを通します。
リアディレイラーを通すときチェーン脱落防止のピンまたは板の外側をチェーンが通らないように注意して下さい(間違えると部品の破損のおそれがあります)。
チェーンを通したら連結部にコネクティングピンを挿し込み、チェーンカッターでプレスして繋ぎます。
プレスが完了したら余分な部分をペンチなどでポキッと折って取り除きます。
折った後はコネクティングピンの両側とアウターリンク面が平らに揃った状態であるか確認するのを忘れないようにして下さい。
以上でチェーン交換は完了です!
おわりに
自分自身最新情報に疎いので今までチェーンの長さの決め方は従来からの
”チェーンをアウター×トップにかけ、ガイドプーリーとテンションプーリーの中心を結ぶ線が地面と垂直”
という方法しか知りませんでしたが、今回調べていく中で自転車パーツの進化(多段化など)に伴いチェーンの長さの決め方も変化していたんだということに気付くことが出来ました。
現在使用中のパーツ(コンポーネント)も古くなり、一部のパーツを交換をしたくても入手が困難な場合があるので、そのうち丸ごと交換するときが来そうです。
そのときはあらためて調べて確認する必要がありそうです。