ロードバイクのSTIレバー ST-5700 (105グレード)を2011年から使用していますが、現在(2025年1月)まで1度も分解、清掃といったメンテナンスを行っていませんでした。
2年ぐらい前から行おうとは思っていましたが、なかなか出来ずこの度ようやく行いました。
思っていたよりレバー軸のEリングの取り外しに苦労しました。今回経験したことにより次回はすんなり出来ると思いますが、このSTIレバーではこれが最初で最後で次回はないかも知れません。
今回行った ”STIレバーの分解、組み立て” の様子を記載していますので参考にしていただけたら幸いです。
STIレバーの分解とはブラケット体とレバー体を分離することで、内部の細かなメカを分解することではありません。
分離することでSTIレバー内部の汚れをウエスや綿棒などできれいに拭き取ることが出来ます。
そのためには下の写真の様にSTIレバーをハンドルから外す必要があります。写真ではブラケットカバーとネームプレートを外していますが外さなくても分解出来ます。
STIレバーをハンドルから外すにはバーテープ、シフトワイヤー、ブレーキワイヤーを外さなければなりません。
したがって、この作業をするときはこれらを同時に交換するタイミングで行うのがベストだといえます。
今回の分解、清掃ついでに小物パーツ(2年前に入手できたもの)の交換を行いました。内容は以下の通りです。
- レバー軸
- Eリング
- メインレバーサポート
- ケーブルガイド
- ブラケットカバー
- ネームプレート(L側のみ)
なお、メインレバーサポート、ケーブルガイド の交換はSTIレバーの分解の必要はありません。ブラケットカバーの交換はSTIレバーをハンドルから外さなくてもできますが、外したほうがやりやすいので交換しています。
STIレバー分解
ここからは分解作業になります。L側レバーを分解していきます。
注)分解、組み立て手順は ”ST-5700” の”ご使用方法”を基に記載しています。その他のグレード、世代の場合は異なる点があるかも知れませんのでご注意ください。
分解するにはレバー軸を固定しているEリングを外さなければなりませんが、そのためには以下のような専用工具が必要になります。
このときEリングを下のような向きにする必要があり、専用工具のB部を使用しEリングの向きを取り出す方向に回転させます。
実際にやってみたところ向きの微調整が難しいので、先端の細いマイナスドライバーで微調整を行いました。
また、隙間が狭いためかなり見えづらくやりにくいと思います。
Eリングの方向が決まったら専用工具のA部を使用し、Eリングを外します。
A部には裏表の向きがあります。STIレバーを上の写真のように置いた場合、溝がある方を上にし(嵌めるときも同じです)専用工具でEリングを挟んで押し出すように隙間に差し込みます。
隙間の幅が専用工具の厚みちょうどぐらいなので差し込みにくいと思います。また、レバー体の両側にワッシャーが貼り付けられているのでこれを剥がさないよう注意が必要です。
差し込むと下のようにEリングが少し出てきます。あとはEリングの隙間に先の細いマイナスドライバーを入れてEリングを取り外します。場合によってはEリングが飛び出すかも知れませんので注意して下さい。
次にレバー軸を外します。
レバー軸には方向性があり外す方向及び入れる方向が指定されており、間違えるとブラケット体が破損する恐れがあるので注意が必要です(STIレバーの”ご使用方法”を必ず確認してください)。
外す方向はレバー軸のEリングが嵌る溝がある方を上にし、軸の上面に六角レンチなどを当ててプラスチックハンマーで少しずつ叩いてレバー軸を抜いていきます。
平らな面に置いて行うとレバー軸が床等に当たるので、レバーを何かの上に置きレバー軸が抜ける部分を浮かせて行う必要があります。
レバー軸が抜けるとブラケット体とレバー体に分解できます。
分解出来たらウエスや綿棒などにパーツクリーナー等を適度に浸み込ませ細部の汚れを拭取ります。
清掃が終わったら組み立てを行います。
STIレバー組み立て
レバー軸を圧入するためにブラケット体とレバー体を合わせる必要があります。”ご使用方法”によると「メインレバーサポートにコネクトレバーを差し込んでから」合わせると記載されていましたが、個人的にはやりずらかったためメインレバーサポートをあとから取り付けることにしました。
やりずらい理由は、レバー体のリターンスプリングをブラケット体の切り欠き部に差し込む必要があり、メインレバーサポートにコネクトレバーを差し込んだ状態でこれを行おうとするとなかなか上手くできないからです。
レバー体のリターンスプリングをブラケット体の切り欠き部に差し込んだら、ブラケット体とレバー体の軸穴を合わせます。
レバー軸の圧入方向は抜いた方向と同じ方向です。Eリング溝を上にして上から圧入します。
軸穴をピッタリ合わせた状態でレバー軸を軽く叩き、レバー体にわずかに入るくらいまで入れたら専用工具をブラケット体とレバー体の間に差し込みます。
これはあとでEリングを入れるときの隙間を確保するためです。
レバー軸をプラスチックハンマーで少しづつ叩き、ブラケット体の表面とレバー軸トップ面がフラットな状態になるところまで圧入します。このときはSTIレバーを手で持った状態で行えます。
専用工具を外します
Eリングを専用工具にセットし、外すときと同じ方向から嵌めます。
きちんと嵌っているかどうかを確認するには、先の細いマイナスドライバーを使ってEリングが回るかどうかを確認すればわかると思います。軸は圧入されているため回らないのでEリングが回れば溝に嵌っていると判断できると思います。
メインレバーサポートを取り付けます。
基本的にはここまででSTIレバーの分解、組み立ては終了です。
ここからは任意ですが、状況によっては”ケーブルガイド”、”ブラケットカバー”の交換をお勧めします。
ケーブルガイドの交換
ケーブルガイドは下の写真の様にブラケット体の窓からマイナスドライバーを当てて押し出せば外れます。
取り付けは手で入れパチッと決まるところまで入れれば完了です。
ブラケットカバーの交換
ブラケットカバーは下の写真のように手前側から入れます。
STIレバーがハンドルに固定されている通常の状態に比べやりやすいと思いますが、それなりに引っ張らないといけないので力がいる作業です。
STIレバーをハンドルに取り付けている状態だと反対のレバー側から入れることになります。かなり力技になりますができなくはないです。
ブラケットカバーにはR、Lの区別があります。このブラケットカバーの場合内側に刻印がありました。
ネームプレートの交換
全く個人的ですが、以前転倒した際にL側ネームプレートに傷がついていたため交換しました(2つ上の写真参照)。
ネームプレートを固定している左右のねじを外せば簡単に交換できますが、そのためにはブレーキワイヤーの固定を外す必要があります(ワイヤーの張りを緩めただけでは出来ないようです)。
以上でSTIレバーの小物パーツ交換完了です。
余談かも知れませんが、STIレバーをハンドルから外した際、写真の部分のスペーサーが外れ再度セットするとき向きがあるので注意して下さい。くぼみが左上の向きが正しい向きです。
おわりに
STIレバー内部は普段見ることがないのでわかりませんでしたが、そこそこ汚れていました。
また指が触れる部分は錆が発生していましたが、レバーを分解することで錆び取り作業(ヤスリで軽く削る)がやりやすかったです。
清掃したからと言って変速性能が向上するとまでは言えませんが、安心感にはつながると思います。
なお、注油、グリスアップ等は行っていません。その理由は単純に”ご使用方法”に記載されていなかったからです。
今回はST-5700というかなり古いSTIレバーが対象のため、交換用の小物パーツがなかなか入手できませんでした。現段階では入手不可能かも知れません。
STIレバーの世代が最近のものであっても、これらの小物パーツの交換をお考えの方は早めに入手されることをお勧めします。
特に重要だと個人的に思うパーツはリアシフトケーブル用のケーブルガイドです。
リアシフトはフロントシフトに比べて使用頻度が高くケーブルの寿命が短いため、ケーブルガイドとケーブルが擦れることによりケーブルがほつれ、ケーブルガイドが傷ついてしまうことがあるようです。
ケーブルガイドはシフトケーブルの固定を外すと交換できますが、シフトケーブル交換と同時に行うといいと思います。
詳しくは下の記事を参考にして下さい。